★ 今市隆二、”R”に込めた挑戦し続ける決意 ◯◯◯◯から得た刺激も ★
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三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)のボーカル・今市隆二による最新アルバム『R』。タイトルの“R”が示すのはRYUJI IMAICHI自身であり、ソロデビューから6年半が経ち、今一度自分らしさを探求した先に見えたのは、日々燃え続ける真っ赤な“挑戦心”だったと彼は語る。現在開催中の単独アリーナツアー『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2024 “R”ED』でも披露されている『R』の楽曲たちは、どのようにして生まれたのか。アルバムに込めた想いを今市に語ってもらった。
「ソロ活動の総括みたいなアルバムを目指して作り始めた」
――アルバム『R』はいつ頃から制作が始まったんですか?
今市隆二(以下、今市):去年の夏頃にはもう今年のソロ活動の構想を立てていたので、そのくらいですね。先に『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2024 RILY'S NIGHT/LOST“R”』(ホールツアー)と、6月からスタートした『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2024 “R”ED』(アリーナツアー)の開催を決めて。じゃあ、アリーナツアーに先駆けてアルバムをリリースしようかってことで、制作に入りました。
――アルバムタイトルの『R』をはじめ、今年の活動はRYUJI IMAICHIの“R”がコンセプトになっていますが、こちらはどういう経緯で見えてきたのでしょうか。
今市:2年前に『RILY'S NIGHT』(ホール形式のコンセプトライブ)を開催した時に、ファンの方たちと「また『RILY'S NIGHT』をやります」と約束したんですが、それを2年越しに実現するにあたって、改めて自分と向き合おうと思ったんです。それで、僕のほうからスタッフさんたちに「2024年は“R”をコンセプトにした活動にしたい」と提案しました。その上で真っ先に決まったのが、アリーナツアーのタイトルである『“R”ED』ですね。赤は三代目JSBでの僕のメンバーカラーでもあるし、アリーナツアーに向けて燃え上がる気持ちを象徴する色だから。そしたら必然的に、アルバムも全曲“R”始まりのタイトルにして、エンタテインメント性の高い作品にしようと。そんなアルバムに繋がる“R”OADを辿っていくという意味で、今年の『RILY'S NIGHT』には『LOST“R”』と名づけました。
ただ、アルバムタイトルに自分の名前をつけるのは覚悟が必要でしたね。例えばビヨンセや他の海外アーティストが、自分の名前をアルバムタイトルにしているのを見てきて、僕もいつか自分の名前を冠した作品を発表したいと思っていたんですけど、その反面、自分の名前をタイトルにするからには、心から納得のいく作品にしないとダメだなと思っていたんです。だから、ただ今の自分を表現するのではなく、今まで自分が積み上げてきたものをお見せしたいなと。誤解を恐れずに言うなら、ソロ活動の総括みたいなアルバムを目指して作り始めました。
――“今市隆二らしいアルバム”という先入観を持って『R』を聴いたら、意外とラブバラードが入っていなくて驚きました。以前は今市さん=R&Bで愛を歌うイメージが強かったので。
今市:そうなんですよね。はじめは歌モノやバラードをしっかり入れて構築していくべきかなと思っていたんですが、結果的には今までで一番攻めたアルバムが完成しました。でも、仕上がったアルバムを見て、すごく腑に落ちている自分がいるんですよ。今市隆二らしさって何だろうなって考えた時に、これまでもいろんな挑戦をしてきたし、きっとこれからも挑戦していくだろうから、挑戦し続ける姿を見せることが一番自分らしいと思ったので。クリエイターも一新して、サウンド面でも新たな一面を見せているし、まさに“今の今市隆二”を感じてもらえるアルバムができたと思います。
――では、収録曲のお話を。まず、リード曲の「RED」(Lyrics: Yohei, D&H (PURPLE NIGHT)/Music: D&H (PURPLE NIGHT), Yohei)は、どういったところから作り始めましたか?
今市:アリーナツアーが今年の自分の一番メインとなる活動なので、リードはそこに懸ける気合いや覚悟をしっかり表現できる曲にしたくて。そういうイメージでトラックを探していた時に、このデモに出会いました。なのでタイトルも、アリーナツアーとの繋がりで自然と「RED」に。
――今回のアルバムも「REALLY LOVE」や「RE:MIRACLE」は今市さんが自ら作詞されていますし、今までの作品も特にリード曲には今市さんの色が濃く出ていたと思いますが、「RED」は作り方からガラッと変えたということでしょうか。
今市:そうです。今まではサウンドに対しても自分のこだわりを細かく伝えていましたし、作詞も一から打ち合わせに参加したり、自分で書いたり……という感じだったんですけど、今年でデビューして14年、ソロだと6年が経つ中で、曲によっては「この曲は任せたほうがいいな」っていうのが感覚でわかるようになってきたんですよ。もちろん、「ソロではセルフプロデュースを徹底したい」という気持ちは変わらずにありますが、今は新しい雰囲気の曲調でも自分が歌えば自分らしい曲になるという自信があるので、場合によっては人に任せてもいいと思えるようになったんです。しかも、先ほども言ったように、今回はクリエイターを一新したので。だったら、みなさんが生み出した音楽に乗っかったほうが面白いものができるなと思って、「RED」の歌詞も、作家さんの普段の作風や雰囲気を活かして書いていただきました。
――「RED」で特に心惹かれたフレーズはどれでしょう?
今市:〈誇り高きCrown 魅せつける〉ですね。“誇り”というワードは自分のほうから「歌詞に使ってほしい」とリクエストしたんですが、三代目JSBのボーカルであることや、赤のメンバーカラーを背負っていること、自分たち(三代目JSBメンバー)がやってきたことを誇りに思っているからこそ、覚悟や気合いだけじゃなくて、この表現を入れたかったんです。
――このフレーズは、三代目JSBのカムバックを“7人の王の帰還”と喩えた楽曲「VII CROWNS」とも重なりますね。そのリンクは意識しましたか?
今市:意識はしていなかったですが、「RED」も王者みたいな目線で作れたらいいなと思っていました。自分のソロ曲だと、意外とこういう攻めた言い回しをすることがあまりないので。
――攻めたと言えば、オーセンティックなラップで始まる構成も新鮮ですね。
今市:実はラップ始まりのバージョンの他に、歌始まりのバージョンも存在していました。でも、歌始まりのデモを聴かせてもらった時に、ちょっと勢いが足りないなって感じて。自分がラップを成功させることが上策だなと思い、ラップバージョンに絞ってレコーディングしていきました。このパートの歌い方は、レコーディングしながら決めようと思っていましたね。というのも、仮歌だともっとテンションが高かったんですよ。今の1~2段階くらい。でも、自分のキャラや声質を踏まえると、そのままハイテンションでガツガツラップしたら、若い感じがするし。かといってテンションを低くすると、クールでカッコよくはなるんですけど、勢いが出づらかったりするので。こういうテンションのラップはどうだろう? って何パターンか録ってみて、そのいいとこ取りをしてRECをしました。
――YouTubeで公開されているMVを観てもわかるように「RED」はダンスもハードですが、どなたが振付を制作されたのでしょうか。
今市:振付はs**t kingzのshojiさんにお願いしました。ダンスにも、歌詞で表現している王者感を上手く落とし込んでくれましたね。一つひとつの振付もそうですし、ダンサーを交えた構成でも「王者感」というのを伝えていて、すごく見応えのあるパフォーマンスになっていると思います。
――三代目JSBのアルバム『Land of Promise』のインタビュー時にも、年々ボーカル陣のダンス量が増えているという話がありましたが(※1)、ソロでも年々踊る量が増えているようで。
今市:確かに……!(笑)
「好きなものと真剣に向き合ったからこそ、手にできる幸せもある」
――今市さんがソロライブに懸ける熱量は、MATE盤(ファンクラブ限定盤)や市販盤に収録されている『CONCEPT LIVE 2024 RILY'S NIGHT/LOST “R”』のライブ映像からも伝わると思います。ライブ映像と音源が同時収録されている「RHAPSODY」(Lyrics: YVES&ADAMS/Music: Kalle Persson, Jenny Emilsson, Adam Lowenberg)と「REALLY LOVE」(Lyrics: RYUJI IMAICHI, YVES&ADAMS/Music: Will Jay, Xansei, oksami)は、それぞれどんな想いで制作されましたか?
今市:まず「RHAPSODY」から。今年2月にソロ活動をスタートさせる際にティザー(『CONCEPT LIVE 2024 RILY'S NIGHT/LOST “R”』の告知映像)を作りまして、実際の『RILY'S NIGHT』も同じ世界観の映像から幕を開けたんですが、「RHAPSODY」はそこに繋がる1曲目として制作しました。「RHAPSODY」には“狂詩曲”という意味があるんです。このデモが自分には情熱的な曲として聴こえていたので、歌詞は、長年一緒に制作しているYVES&ADAMSの2人に「情熱的でセクシーなラブソングを書いてほしい」とオーダーしました。
――4月に先行配信された「REALLY LOVE」は?
今市:「REALLY LOVE」も「RHAPSODY」と同じく、今回初めてご一緒する作家さんのトラックなんですけど、こっちはリード曲の「RED」と近い印象があったんですよ。この曲をやろうって決めて、いざ制作が始まった時に「わりとラップだな」って思ったんです。「結構苦労するかな? やってみないとわからないな」って。だから、歌詞を書く時も結構手探りで。最初は抽象的な言葉を入れようかと思ったんですけど、それをラップに乗せると弱い印象になったので、あえてパンチの効いた言葉を使いましたね。内容的には僕が好きなものについて綴っていて、パーソナルな側面が強い曲になっています。
――好きなもの・好きなことを歌詞に取り入れようと思ったのは、なぜですか?
今市:大人になると、自分が好きなものや好きなことを素直に好きって言いにくくなっちゃうなって思うんですよね。10代の頃は夢に溢れていたかもしれないですけど、一般的に見たら、大人になって好きなことを仕事にしている人は多くないと思うし。でも、好きなものと真剣に向き合ったからこそ、手にできる幸せもあるはずだから。僕がアーティストになるという夢を叶えて、好きなことを仕事にしているように、この曲を聴くことで好きなものと真剣に向き合うきっかけになったらいいな、という願いを込めて作詞しました。
――現在、アリーナツアーではまた違った演出で届けていると思いますが、この2曲を『RILY'S NIGHT』で披露する際にこだわったことや、ライブ映像で注目してほしいポイントもお聞きしたいです。
今市:『RILY'S NIGHT』は全編バンドが入っているので、そもそもオリジナルのデジタルサウンドとは違うんですけど、先行配信した「REALLY LOVE」と違い、「RHAPSODY」は音源がまだ世に出ていない状態での披露になったんですよね。だから、初見なのにバンドアレンジすぎるのはどうなんだろう? と思って、オリジナル(音源)を忠実に再現して届けました。逆に「REALLY LOVE」は、例えば2番でブレイクの後にキメの部分を作ったりとか、生バンドならではの演出を取り入れましたね。ライブではダンスもあるので、リハをやっている時に「振りと合わせたキメを入れない?」と提案することがよくあって、今回もそういうセクションを作ろうと。「REALLY LOVE」はミュージカルっぽい雰囲気の演出にもなっているので、音源とは違った面白さを感じてもらえると思います。
あと、2年前の『RILY'S NIGHT』はコロナ禍が収束する前で、思うようにコール&レスポンスができなかったので、久しぶりにみんなで声を出せたらいいなという想いもあって、コール&レスポンスのセクションも作りました。
北山宏光との関係値を鮮明に表したリリック
――また、アルバムにはTOBEの北山宏光さんとコラボした「REALLY LOVE feat. HIROMITSU KITAYAMA」(Lyrics: RYUJI IMAICHI, YVES&ADAMS/Music: Will Jay, Xansei, oksami)も収録されています。北山さんとのご関係は?
今市:ミツ(北山)は、僕が芸能界に入ってからできた親友的な存在ですね。7~8年くらい前から付き合いがあって、その頃から「なんか一緒に面白いことしたいよね」っていう話をよくしていました。でも、当時はなかなか実現できる環境や状況ではなくて。時代の変化と共に僕らを取り巻く環境が変わっていったことで、ようやく去年くらいから「具体的に一緒にやっていこうよ!」って動き始めたんです。で、自分のレギュラーラジオにミツがゲストで来てくれたりして。「REALLY LOVE feat. HIROMITSU KITAYAMA」も、自分からお声がけさせてもらって実現しました。
――北山さんパートの歌詞はオリジナルバージョンとは違う内容になっていますが、今市さんが書いたんですか?
今市:今回は僕の曲にミツが参加してくれるという形なので、歌詞は全部こちらに任せてもらうことにして。自分が思うミツのイメージをYVES&ADAMSの2人に伝えて、書いてもらいました。ミツのパートではあるんですけど、自分とミツの関係値をすごく鮮明に表現してくれているなって思いましたね。
――完成した楽曲を聴いた印象と、北山さんのパートで特に刺さったフレーズも教えてください。
今市:自分のソロ曲では「REALLY LOVE」が一番ミツに似合うだろうと、この曲を選んだんですが、僕の期待を上回る素敵なボーカルを入れてくれて嬉しかったですね。なんていうか、育ってきた環境の違いが声質や歌い方に出ていますよね。それが違う事務所の人と一緒に歌う面白さだなって実感しました。その中で特に好きなフレーズは、〈こうして僕が僕らしく輝く/それが君にとっても愛だって信じてたい〉かな。ミツと話していると、アーティストとしての覚悟を感じるんですよ。どんな環境にいても、“いちアーティストとして、今自分がどうありたいか”が明確にあるんだなっていうのが伝わるし、それがファンの人にとっても幸せであってほしいと、いつも願ってるんです。そんなミツの姿がこの歌詞に表れていると思うので、ここはすごく刺さりました。
――4曲目の「RENDEZVOUS」(Sound Produced by Kota Matsukawa (w.a.u), VivaOla/Lyrics: Kota Matsukawa, VivaOla/Music: Kota Matsukawa, VivaOla)と5曲目の「RIDE」(Sound Produced by Kota Matsukawa (w.a.u)/Lyrics: Kota Matsukawa, VivaOla, Kenya Fujita/Music: Kota Matsukawa, VivaOla, Kenya Fujita)は、どちらも同じクリエイターチームが手掛けた楽曲ですね。
今市:この2曲を作ってくれたw.a.uというチームも、今回初めてご一緒した方々なんですけど、w.a.uのメンバーって、みんな大学生なんですよ。だから、キャリアを重ねた自分にはない感性を存分に発揮してほしくて。「RENDEZVOUS」は自分が好きなマイケル・ジャクソンをテーマに投げて、あとはみんながどういうふうに調理してくれるかな? っていうのを楽しみにしていました。そしたら、「RENDEZVOUS」のデモが届いて。マイケルらしさもありつつ、キャッチーな曲調で自分好みだなと思いましたね。
――歌詞もお任せしたのは、何か理由が?
今市:彼ら、歌詞の書き方も面白いんですよね。ラブソングではあるんですけど、「こういう想いを伝えたい!」というよりも、聴き心地に対するこだわりが強いから、「このメロだったら、こういう母音の歌詞にしよう」などといった制作の仕方をしているので、自分とは違い刺激も受けました。
――個人的には、「RENDEZVOUS」の〈君を想うと胸が痛むよ/世界はモノクロ〉という歌詞が気になりました。以前、岩田剛典さんが発表した楽曲「モノクロの世界」は「普段の代わり映えのない生活が“モノクロの世界”だとしたら、“ときめき”はそこに彩りをくれるもの」(※2)という視点で描かれたラブソングでしたが、今市さんの「RENDEZVOUS」は、傍に〈君〉がいるのに世界がモノクロに見えるんだなと思って。
今市:ラブソングで同じ言葉を使っていても、違う意味になるんですね。「RENDEZVOUS」は叶わぬ恋かもしれないし、切ない内容ですもんね。
――ボーカルレコーディングも、w.a.uチームの方がディレクションされたんですか?
今市:そうです。正確にはw.a.uチームじゃないんですけど、彼らと一緒にやっているシンガーソングライターのVivaOlaが「RENDEZVOUS」と「RIDE」の仮歌を入れてくれていたので、VivaOlaとw.a.uチームのリーダー(Kota)Matsukawaくんと一緒にスタジオに入って。すごく気を遣ってもらいながら、ディレクションしてもらいました(笑)。
――もう1曲の「RIDE」も、「RENDEZVOUS」と同じタイミングでオファーしたんですか?
今市:いえ、アルバムに向けてデモを集めている時に、先に「RIDE」に出会って。そこでw.a.uチームの存在を知りました。
――その後「RENDEZVOUS」をオファーする流れになったということは、「RIDE」のデモが相当衝撃的だったんでしょうね。
今市:「RIDE」を聴いた時、「曲の解釈すごいな!」と思ったんですよ。なんて言ったらいいのかなぁ……。「この曲、どんな曲?」って聞かれた時に、俺は上手い言葉が見つからないんですよね。自分と同世代のアーティストとか、他のトラックメイカーと曲を作る時って、「R&Bをやろう」とか「ヒップホップをやろう」とか、何かしらジャンルの話が出てくるんですけど、w.a.uチームの曲は、そういう話をしないで作っている気がする。彼らがどういう感覚で、どういう共通認識を持って作っているのか、すごく興味深いなって思いました。
――音源よりも先に「RIDE」の歌詞を読んだので、てっきりシティポップっぽい曲調なのかな? と思っていたんですけど、シティポップじゃないですもんね。
今市:そうそう。都会的なイメージがあって、スタイリッシュな曲だなとは思うんですけど、明確なジャンルが浮かばない。〈飛んでく君の方へ(方へ)〉って繰り返すところも、自分にはない引き出しですからね。それがすごく面白くて。「RENDEZVOUS」と「RIDE」の制作を通して、時代が変わり、音楽の在り方が変わっていく中で、新たに生まれた感性を学ばせてもらいました。
“奇跡は起こせる”というメッセージを込めた理由
――そして、スタイリッシュな「RIDE」に続くのが、ゴスペル調の「RE:MIRACLE」(Lyrics: RYUJI IMAICHI, EIGO (ONEly Inc.)/Music: SWEEP, nabeLTD, Yohei Kunii (ONEly Inc.))。
今市:この曲もEIGOさんという初対面のクリエイターさんに入っていただいて、一緒に制作しました。ゴスペルの曲はいつかやりたいと、かなり前から思っていたんですよ。僕が好きなアーティストのルーツを辿ると、幼少期に教会で歌っていたという人が多くて。自分もLAによく行っていた頃に、実際に教会に行ってゴスペルを体感したので、ソロ曲で歌いたいなと思っていたんです。なので、この曲で長年の夢が叶いましたし、(ボーナストラック的な「REALLY LOVE feat. HIROMITSU KITAYAMA」を除くと)アルバムの最後を飾る楽曲としてふさわしい仕上がりになりましたね。
――「RE:MIRACLE」の歌詞には、どんなメッセージを込めましたか?
今市:これは自分自身が感じてきたことなんですが、「こんなことが起きたらいいな」って思いながら、その夢から目を逸らさずに生きてきたら、ふとした時に「あれ? あの時願ってたこと、叶ってるじゃん」って気づいたりするんですよね。奇跡って言うと、何百万分の1みたいなとてつもない確率のように感じるし、実際にそれほどハードルの高いものだと思うんですけど。絶対に叶わないものではなくて、真剣に立ち向かえば奇跡は起こるんです。それを自分は身を以て知っているので、「奇跡は起こせるよ」っていうメッセージを込めました。人生を歌った壮大な曲になりましたね。
――挑戦的な曲が多いからこそ、今市さんの本質を歌った「RE:MIRACLE」は安心感がありますね。歌詞には、今市さんの作詞曲ではお馴染みの〈星〉もしっかり入っていて。
今市:星、好きなんだよなぁ……。そういうところでも“らしさ”を感じてもらえたらと思います。
――ちなみに、これも意図していないことだと思うんですけど、2013年に三代目JSBがリリースしたアルバムタイトルが『MIRACLE』だったので、10年以上が経って「RE:MIRACLE」が生まれたことにも縁を感じました。
今市:「MIRACLE」、懐かしい! 2013年だと「R.Y.U.S.E.I.」が生まれる前ですもんね? あの頃思い描いていた夢が、今となってはたくさん叶っているって考えると感慨深いし、やっぱり、全ての出来事は繋がっているんだなって思います。
――では最後に、『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2024 “R”ED』の先のビジョンを教えてください。
今市:アリーナツアーが終わったら、とりあえず倒れるんじゃないですか? ……っていうのは冗談ですけど(笑)、僕の中ではこれまでの集大成のようなツアーだと思っているので、それくらいの覚悟で回っています。正直、先のことは僕にもまだわからないんですよね。このツアーが重要な節目になることは間違いないので、まずはアルバム『R』を聴いて、会場で“ソロアーティスト 今市隆二”の生き様を記憶に焼きつけてほしいなって思います。