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ー今作のテーマでもある80’sのスタート地点としてあった「Talkin’ bout love」は、これまでの今市さんのファンクネスな部分を継承している曲でもあると思っていて。逆に「FUTURE LOVERS」とか「Highway to the moon」とか、8ビートな感じの曲って今まであんまりなかったような気がするんですけど。
今市:「FUTURE LOVERS」と「Highway to the moon」の2曲に出会えたことは大きかったです。「Highway to the moon」に関しては、デモを聴いた瞬間に、あ、これはもう、やんなきゃダメっていう感覚になったというか。シティ・ポップもすごく興味があったので、80’sで打ち込み系の疾走感のあるビートの曲もあれば、ちょっと生音っぽい曲があるとよりバリエーションも増えますし。それから2曲とも歌詞をつけた感じですね。
ー「FUTURE LOVERS」と「Highway to the moon」の作曲を担当しているMattさんと曲をつくるのははじめてですか?
今市:「Highway to the moon」に関しては、ラップパートのところかな。歌詞書いてくうちにドライブしているイメージになったので、トレンディな曲にしたくて。夜のドライブのデートに行く、じゃないですけど。中盤でラップがあったんで、ラジオのDJの感じになったら面白いかなって、そこはラジオDJっぽく加工したりしました。それぐらいですかね。あんまりメロいじったり、トラック変えたりはなかったですね。
ー「Highway to the moon」は80’sっぽい雰囲気も相まって、今市さんのボーカルがラップも含めていい感じにハマった曲になってるかなと思うんですけど。ご自身のボーカルに関して、Mattさんがつくった2曲はどうでしたか?
今市:「FUTURE LOVERS」に関しては、ボーカルの処理にこだわった部分があって。トレンドもちゃんと意識して、アンドロイドが出てくる曲でもあったりするので、空間系をしっかり処理して。完成したものにはすごく満足してますね。「Highway to the moon」でいうと、コーラスワークの重ね方というか、コーラスの出来上がりもけっこう好きで。切れ味よくいい感じにできたかなってすごく思いますね。
今市:「FUTURE LOVERS」でいうと、セクシーロボットのイメージでつくって、ストーリーも自分の中で考えたんですね。アンドロイドと人間って、一緒になれないのが普通じゃないですか。そういう禁断の愛みたいなものを題材にしていて。現代の恋愛って、マッチングアプリのように、これはいい、これは悪いってやっちゃう時代になって、人をモノみたいに扱ってる。それってどうなんだろうなって思うところもあって……。もちろん、そういう流れでちゃんと結婚してる方もいると思うんですけど、そういう状況を踏まえて、本当の愛を感じてほしいとメッセージを込めて、歌詞も書きましたね。歌詞表記でいうと「FUTURE LOVERS」の“メタリックな唇ト心ガ溶ケ合エバ”とかでアンドロイド感を出してますね。あとはBメロ、“壊れたAI でも構わない”、あそこの、“壊れた愛”のところが“AI”になるのを3人でつくってるときに閃いたときはみんなもう、ガッツポーズでしたね(笑)。すごい時間がかかって、ここだけ出ないってなってたんですけど、あそこが出たときはもうみんなで……リモートでしたが、完全にハイタッチした気分でしたね。「Highway to the moon」でいうと、とにかく「トレンディ」っていうテーマでつくっていて。で、「トレンディってなんだろうね、やっぱドライブだよね」ってところから始まって。トレンディさを感じるフレーズがいっぱいあるんですよね。“月9”だったり、“Can’t take my eyes off you”とかも入れたり。
ー“レインボーブリッジ”とか。
今市:はい。“レインボーブリッジ”もそうだし、あと“東京タワー 3,2,1吹き消したら”とか。実際自分がそういうのをリアルタイムで体験してたわけじゃないんですけど、いろいろ調べたりして。昔こういうことがあったんだよって伝えられることにもなるなと思って書きました。“自由の女神に見せつけてKissしよう”っていう歌詞は、お台場をイメージしてここがHOTスポットになったらと楽しみながらつくった感じです。「Highway to the moon」に関してはグルーヴですね。とにかくグルーヴを大事に歌うようにしていましたね。
ーリズム的にもテンポ的にもグルーヴ感を表現するのが難しそうな曲だなと思ったのですが。
今市:でも自分的には、そういう方がやりやすいというか。やっぱりR&Bが好きなので、どちらかと言うとオンでやるほうがちょっと苦手かもしれないです。だから「Highway to the moon」のように後ろに少しズレてるほうが、歌ってて気持ちいい感じはあるかもしれないですね。
ー今回「FUTURE LOVERS」と「Highway to the moon」のリミックス曲も入っていますよね。☆Taku TakahashiさんとNight Tempoさんが手がけてますが、人選はどのように決まったんでしょうか?
今市:シティ・ポップブームをつくった1人でもある、Night Tempoを最初に提案させてもらって。で、実際にできることになって、そうなったらもう「Highway to the moon」しかないなっていうか。ただ、今まで新譜の曲をリミックスされている人ではなかったので、やってくれるかが不安で。でもOKしてくれたので、シンプルにうれしかったです。で、Night Tempoさんがリミックスしてくれるってなったときに、じゃあ「FUTURE LOVERS」のリミックスどうしようかなって考えたら、☆Takuさん以外いないなって。もちろん音楽性もそうですけど、存在感としてもぴったりだなと思いましたね。それで連絡させてもらったんですけど、実は今回☆Takuさんとお仕事するのははじめてで。グループとしてもないんですよ。LDHとの関わりもたくさんあって、一緒にご飯食べたりしたことはあるんですけど。で、リミックスしてもらうことが決まって、直接☆Takuさんから「今回ありがとね、どうしよっか」みたいな感じで連絡がきたんです。やりたい方向性のリファレンスは出してたんですけど、「なに伝えたい?」みたいな感じになって。で、「FUTURE LOVERS」の歌詞の、アンドロイドと人間の禁断の愛っていう世界観を改めて伝えました。「『FUTURE LOVERS』なんで絶望だけではないんですよ。ちゃんと希望感も出したくて」って補足も入れたり。それで☆Takuさんが「希望と絶望と明るさを入れました」と言葉つきで最初にリミックスをあげてくれて。「本当に絶望とか希望が入ってる!」って、あれだけ感情が揺れ動く体験がなかったので、☆Takuさんすごいなってすごく感じましたね。曲を聴いて感動することももちろんあるんですけど、リミックスであれだけ感動したことが今までなかったので、お願いできてすごくよかったです。